仏事のよくある質問
仏事に関して多くのお客様から寄せられるご質問にお答えしています。お供え物や法要の手順、仏事の作法など、幅広い疑問にわかりやすく解説しています。
仏事に関して多くのお客様から寄せられるご質問にお答えしています。お供え物や法要の手順、仏事の作法など、幅広い疑問にわかりやすく解説しています。
1.法事とは
法事とは、仏教の行事のことを言いますが、普通は中陰供養・月忌供養・年忌供養など、追善供養や追善回向をするために営む仏事のことをいいます。追善供養とは故人のために後から追って善い事や福を捧げるという意味です。こうした法事を行うことで故人や先祖の霊が安らかにすごすことができるといわれているため、追善供養は欠かすことができません。また、自らの信仰、信心を高めていくことにもなります。法事は家族だけで営む小規模なものから、五十回忌、百回忌のような大規模なものまであります。
2.併修
同じ年に事なる年忌が重なり、年回の若い方の故人に合わせて2つ以上の法事をまとめて営むことを「併修」といいます。併修は同一年度内に限って認められるのが原則ですが、2、3年以内の年忌をまとめて行うこともあります。ただし、一周忌や三回忌は単独で営むべきです。
3.法事の準備
まず、法事を営む旨を壇那寺の住職に、遅くても1カ月前までには相談し、それから日時と場所を決めましょう。営む場所は自宅や壇那寺が一般的です。日程は故人の祥月命日が普通ですが、変更する場合は命日より早目に取り決めましょう。併修は、必ず年回の若い方の故人の命日に合わせて営みます。
参会者は、一周忌までは親族の他に、近親者、友人、知人など故人がお世話になった方を招きます。三回忌以降は親類縁者や身内が中心となります。案内や通知は電話連絡でも構いませんが、普通は葉書か封書を発送します。案内状には誰の何回忌の法事なのかということ、日時と場所、会食(お斎)の有無を明記します。
出席者の人数を確認できたら、引出物を用意します。参会者への引出物は、先祖からの心づくしという意味合いがあります。引出物の表書きは、黄白あるいは銀一色ののし紙に、上に「粗供養」「志」とし、下に施主の家名を、右肩に故人の戒名・法名と何回忌の供養かを筆で書きます。法事の後に会食の席を設ける場合は、料理店に日時、人数を事前に伝えておきましょう。
自宅で法事を行う場合は、お仏壇を掃除しておきます。また、年回にあたる精霊の塔婆を、お墓にたてることもありますので、お墓は法事の前日までにはきれいにしておきましょう。塔婆供養をする際は、早目に壇那寺に依頼しておくことが大切です。
法事に関しては、その規模を決めて予算を立てます。
まず、法事の規模によって、壇那寺の僧侶に来てもらいます。2人以上の僧侶を呼ぶ際には、その旨を壇那寺の住職に伝えておきましょう。また、参会者は、親戚を含めての縁故者に来てもらいます。一周忌の場合は友人、知人、葬儀の世話役なども招き、全部で20~30人くらいが一般的な規模とされています。
次に、法事を営む会場です。壇那寺の本堂や会館で営む場合、借りる際に会場の規定がありますので、よく確認しましょう。寺院で法事を行う時、一般的に本尊への供花と供物などが必要です。
お斎の費用としては、自家製か仕出しを頼む、または料亭に出かけるという方法があります。仏前に供える膳は精進料理でなくてはなりませんが、お斎は一般的には精進料理にこだわっていません。もしも料亭へ出向く場合は、移動費用も考慮して予算を立てる必要があります。都合によってはお斎を省略し、参会者に引出物と一緒に折り詰めを持って帰ってもらうこともあります。引出物は1世帯に1個ですが、故人の仏前と僧侶にも引出物は渡しますので、計算に入れるのを忘れないでください。
導師を勤めた僧侶には、「御布施」「御膳料」「御車料」を包みます。塔婆をたてる時には「御塔婆料」もまとめて渡しましょう。また、これとは別に法事の機会に、お世話になっている壇那寺に、仏具などの供養の品を贈ることも大切でしょう。なお、三十三回忌や五十回忌は、故人にとって霊が浄化され、先祖に昇華する大切な法事で、これから先は先祖の霊に融合していくとされています。ですから、永代供養のためにある程度のお金をおさめ、今後の供養をお願いしておきましょう。
1.迎え火と送り火
「迎え火」は、お盆の始まりの日の夕方に門や玄関の前、軒先などで焚く明りです。故人の精霊が家に帰ってくる時に道に迷わないようにとの願いから、陶器のおぼんや素焼きのほうろくなどにオガラ(麻の皮をはいだ茎)や白樺の皮、地方によっては藁を焚いて道標とします。墓地近くの家では、お墓参りをして、盆灯籠に火をつけてお迎えします。
迎え火を焚いた後は、その火を移してお灯明をともし、盆堤灯の明りをつけます。
お盆の終わりの日の夕方には「迎え火」を焚いた同じ場所で、「送り火」を焚き、合掌礼拝し、帰る道を照らして精霊を送ります。墓地近くの家では、お墓参りすることは迎え火の時と同じです。
2.精霊棚
宗派や地方によって多少異なりますが、お盆を迎えるにあたり、お仏壇の前に「精霊棚」を設けます。精霊棚とは、「盆棚」「霊棚」「魂祭り棚」ともいい、お仏壇の前に置いた小机にゴザを敷いて作った棚です。ゴザは、手前の方は床に垂らしておきましょう。餓鬼道世界で苦しんで力の衰えた精霊でも、よじ登ってこられるように、との配慮からです。
棚の四隅に青竹を柱として立てて、上に「真菰の綱」を張り、盆花を吊します。先祖の精霊は普段、山頂や原野にあって子孫を見守っている、と考えられていたので、盆花は山野の草花がお飾りに使われます。真菰の綱は、この中にご先祖の霊が来るというしきりを作るためです。そして、真菰の簾のところには本尊や先祖代々の位牌を安置し、その前に三具足、もしくは五具足などの供養のための仏具を整えます。霊前には、霊膳や盆花、野菜、果物、故人の好物を供え、キュウリにオガラを刺して作った馬、ナスにオガラを刺して作った牛などを飾ります。この馬と牛には、先祖の霊が馬に乗ってこの世に帰り、牛に乗ってあの世に戻る、という意味が込められています。
ただし、浄土真宗では、自分の善行や施物を死者に回向する「追善供養」の思想はありません。他界した人は阿弥陀如来の本願によって浄土に往生するという教義なので、迎え火、送り火、精霊棚などは行いません。
1.迎え火と送り火
精霊流し(灯籠流し)は、お盆のお供え物やお飾りをのせた精霊舟(灯籠舟)に火をともして、川や海に流す行事です。川は山に発し、海に流れてゆくからでしょうか、灯籠を流す地域もあります。これは「精霊送り」と「送り火」を一緒にしたものです。